D&I担当者のための知恵袋

D&I推進における「反発」や「抵抗」への対処法:よくある壁と乗り越え方

Tags: D&I推進, 課題, 反発, 組織変革, コミュニケーション, マネジメント

D&I推進は、組織の持続的な成長に不可欠な取り組みとして広く認識されています。しかし、実際に推進担当として活動する中で、「なぜか組織内で反発が生じる」「施策に抵抗を感じている人がいるようだ」といった壁に直面することも少なくありません。

これはD&I推進に限らず、組織に変革をもたらそうとする際に起こりうる自然な反応でもあります。大切なのは、こうした反発や抵抗の背景を理解し、適切に対処していくことです。本記事では、D&I推進においてよく見られる反発や抵抗の原因とその具体的な対処法について解説します。

なぜD&I推進に反発や抵抗が生じるのか

D&I推進に対する反発や抵抗は、個人の性格や善意の欠如からくるものだけではありません。多くの場合、以下のような構造的、心理的な要因が背景にあります。

これらの要因が複合的に絡み合い、様々な形で組織内の反発や抵抗として顕在化します。

よくある反発・抵抗のパターンと具体的な対処法

D&I推進担当者が耳にする可能性のある反発や抵抗には、いくつかの典型的なパターンがあります。それぞれのパターンに応じた対処法を考えてみましょう。

パターン1:「D&Iはコストばかりかかって本業の役に立たない」

これは、D&I推進が「活動」としてのみ捉えられ、事業戦略やビジネス成果との関連性が理解されていない場合に起こりがちです。

パターン2:「自分には関係ない」「人事や〇〇(特定の部署/属性)の人たちの話でしょ」

D&I推進を「自分ごと」として捉えられていない場合に生じる抵抗です。

パターン3:「これ以上、面倒なルールを増やさないでほしい」「今のやり方で問題ない」

変化や新しい取り組みへの抵抗感、既存の快適な状態からの脱却を避けたいという心理が働いています。

パターン4:「それは逆差別だ」「特定の属性ばかり優遇している」

公平性に関する誤解や、既存の制度・慣習が当たり前だと思っている場合に生じやすい反発です。

D&I推進における「壁」を乗り越えるための実践的なポイント

これらの具体的な対処法に加え、D&I推進担当者が長期的に反発や抵抗と向き合う上で重要なポイントがいくつかあります。

まとめ

D&I推進における反発や抵抗は、組織変革のプロセスで起こりうる自然な現象です。重要なのは、それらを否定的に捉えるだけでなく、なぜ生じるのかを深く理解し、対話や具体的な情報提供を通じて粘り強く解消していくことです。

多様な従業員一人ひとりが能力を発揮できるインクルーシブな組織文化を築く道のりは決して平坦ではありません。しかし、そこで得られる相互理解と共感は、組織をより強く、しなやかにする原動力となります。本記事でご紹介した対処法やポイントが、皆様がD&I推進の壁を乗り越え、より良い組織づくりを進めていくための一助となれば幸いです。