D&I担当者のための知恵袋

D&I推進で他部署の協力が得られない…具体的な巻き込み方とアプローチ

Tags: D&I推進, 部署連携, 協力, 巻き込み, コミュニケーション, 組織文化

はじめに

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進は、人事部門だけで完結するものではありません。組織全体の文化を変革し、多様な人材が活躍できる環境を作るためには、様々な部署との連携が不可欠です。しかし、D&I推進担当者の皆様の中には、「他部署に協力をお願いしても、なかなか動いてもらえない」「関心を持ってもらえない」といった課題に直面している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

他部署には、それぞれが担う業務や目標があり、D&I推進が必ずしも最優先事項ではない場合もあります。本記事では、D&I推進担当者が他部署の協力を効果的に得るための具体的な巻き込み方と実践的なアプローチについて解説します。

なぜ他部署の協力が必要なのか?

D&I推進の取り組みは多岐にわたります。例えば、

このように、多くの施策は人事部門だけでは実行できません。関連する部署の理解と協力があって初めて、D&I推進は組織全体に浸透し、実質的な成果につながります。

他部署が協力しにくい理由を理解する

協力が得られない背景には、いくつかの要因が考えられます。

これらの理由を理解することは、効果的なアプローチを考える上で重要です。

具体的な巻き込み方と実践的なアプローチ

他部署の協力を得るためには、一方的な「お願い」ではなく、相手の立場に立った戦略的なアプローチが必要です。

1. 相手部署の立場・関心を理解する

まず、協力を求めたい部署がどのような目標を持ち、どのような課題を抱えているのかを把握しましょう。彼らの日々の業務、KPI、チームの状況などを理解することで、D&I推進がどのように彼らの活動に貢献できるかを見出すヒントが得られます。

2. D&I推進が相手部署にもたらすメリットを具体的に伝える

D&I推進の重要性を一般論として語るだけでなく、協力することで相手部署にとってどのような具体的なメリットがあるのかを明確に伝えましょう。

3. 「共同プロジェクト」として提案する

一方的に協力を依頼するのではなく、共に課題を解決する「共同プロジェクト」として提案することで、当事者意識を持ってもらいやすくなります。

4. 小さく始める、まずは理解者を作る

大規模な協力が難しい場合、まずは小さなステップから協力を得ることを目指しましょう。また、部署内にD&Iに関心を持つ個人がいれば、その方を「アライ」として巻き込み、内部からの働きかけを促すことも有効です。

5. 経営層からのサポートを取り付ける

経営層がD&I推進の重要性を理解し、各部署に協力を促すメッセージを発信することは、非常に強力な後押しとなります。

6. 成功事例やデータを提示して納得感を高める

他部署との連携によるD&I推進の成功事例や、データに基づいた効果を示すことで、協力を検討する上での納得感を高めることができます。自社の他の部署での成功事例があれば最も効果的ですが、難しい場合は他社事例や一般的な調査データでも構いません。

7. コミュニケーションの頻度と質を上げる

一度の依頼で終わらせず、定期的に情報共有や進捗報告を行うなど、コミュニケーションの頻度を増やしましょう。また、形式的な報告だけでなく、対面やオンラインでの打ち合わせを通じて、ざっくばらんに意見交換できる関係性を築くことが重要です。

実践上のポイント

まとめ

D&I推進における他部署との連携は、多くの担当者様が直面する課題です。しかし、相手の立場を理解し、D&I推進が彼らの部署にもたらすメリットを具体的に伝え、「共同プロジェクト」として共に取り組む姿勢を示すことで、協力関係を構築することは可能です。

小さな一歩から始め、根気強くコミュニケーションを重ねることで、D&I推進は組織全体に広がり、より強固でインクルーシブな組織文化の醸成につながるはずです。ぜひ、本記事で紹介したアプローチを参考に、他部署との連携を進めてみてください。